2012年11月4日日曜日

【イベントレポート】 『Fukushima_Future_Session_03』 開催しました。


こんにちは
Link with ふくしま事務局長の佐藤です。
先日行いました、
フューチャーセッション「Fukushima_Future_Session_03」について報告いたします。





 
—問題意識

今回のフューチャーセッションは、震災から1年半が経ち企業の被災地への支援が減少しているのではないか、それは企業にとって被災地を支援する意義が分かりにくくなっているからではないか、という問題意識のもとこれを解決するために行いました。


—日時場所、参加者

今回は10211330分から1800分まで、日本財団に場所をお借りして開催いたしました。

ゲスト陣には、
一般社団法人RCF復興チーム代表理事の藤沢烈さま
NPO移動保育プロジェクト理事長の上國料竜太さま
東北ライジング代表理事の竹井善昭さま
株式会社ソフトバンクCSRグループグループマネージャーの池田昌人さま
という豪華な方々をお迎えし、企業の被災地支援についてお話しいただきました。

参加者の方々も、
IT系企業や旅行代理店などのCSR担当の方や復興支援事業担当の方などを中心に
多種多様な方面からご参加をいただき、質の高い議論を行うことができました。


会の流れ


1.導入
まずは、代表の菅家から、
私たちLink with ふくしま の説明およびフューチャーセンターの説明と本日の狙いをお話しさせていただきました。




今回のフューチャーセッションは、
1.今まで企業が関わった復興支援事例の成功要因と課題を共有
2.企業の持続可能な復興支援モデルを創出
3.次のアクションに繋がる参加者同士のネットワークの形成

をねらいとしていました。

続いて、各グループで自己紹介をしていただき、

和やかな雰囲気の中でセッションがスタートしました。


2.基調講演


藤沢烈さまに
「企業による復興支援〜好事例と注意点〜」と題して基調講演をしていただきました。

企業の支援は、
・本業や理念と直結する支援であること
・プラットフォーム型支援であること
・コミュニティ単位の支援であること
3点が重要とのことでした。


私の印象に残ったのは、被災地のニーズをしっかり把握しなければいけないという点です。

震災直後に新年度が始まり、ある地域でランドセルが100個必要という情報が全国に広がり、
最終的には2,000個集まってしまったというようなお話もありました。

企業という組織体として支援するのではなく、
個人が基点となり「○○株式会社の△△さんと地元コミュニティとのつながり」ができた時に、本当のニーズが分かるとのことでした。





基調講演を聞いての気づきや学びを、グループディスカッションで共有し、




それをもとに質疑応答セッションへ移りました。





会場から出た質問の中には、
「現地では人が足りないという話もあるがどうすればよいか」
というものがありました。

この点に関して、藤沢さまからは、
「総務省などが補助を出して民間企業の人材を雇える制度がある。また情報発信が不得手であればその分野の人を呼んでくるというやり方をいま進めている」
とお答えいただきました。


被災地の現場と政府機関の双方に参加される機会のある藤沢さんならではの
的確なご回答に、
多くのみなさまがうなづかれたり、熱心にメモを取られたりしていました。



3.パネルディスカッション


企業の支援に関する情報をインプットした後、続いてのパネルディスカッションは、
実際に企業の被災地支援に関わる方たちから、生の声をお聞きします。

NPOとして子供とその保護者と向き合っている上國料さま、
CSRコンサルタントのかたわら東北で活動されている竹井さま、
ホワイトプランを手がけビジネスの立場から東北を支援されている池田さま
の三名に、パネラーとして御登壇いただきました。





上國料さまからは、
「利益を出せば出すほど社会に影響力を持つようになる企業と、良い活動をすればするほど社会に影響力を持ちお金も集まりやすくなるNPOは違う性格を持ち、だからこそ連携ができる」
という、今後の企業による復興支援のヒントとなりそうなコメントを頂きました。

竹井さまは、
「阪神淡路大震災の復興が完全に終わったのが2011年であり、16年かかった。今回の広範囲かつ大規模な東日本大震災はさらにかかるだろう。これを支援していくにはビジネスしかない」
という、ご意見をくださいました。
被災から1年半を過ぎたばかりの今、復興のあゆみをさらに加速させ継続していかなくてはとあらためて認識しました。

池田さまからは、
福島に住んでいる子供にとって、その子の今の年齢は今年だけということを認識するべき。
財団は公的機関ではないので、より地域に根ざして、目の前の子供を支援するべきではないかと思う」
とのお話を伺うことができました。
また、合わせて池田さまより、
「ソフトバンクの携帯電話のユーザーだけでいうと1,000から2,000万人というユーザーしかいない。
企業の枠を越えて他社と協働し、より多くのユーザーの共感を生むような支援も業界として求められているのではないか。」
というお言葉もいただきました。

 





続いての質疑応答では
「福島の子供に放射線に対するリテラシーを身につけさせるべきではないか。
なぜならこれからの人生の選択で直面するから」
というような問題提起があり、パネラーの皆さんの取り組みなどを共有していただきました。

やはりそこは非常に重要で必要とされているが、センシティブで意見が分かれるところなので、
東日本大震災復興支援財団さまでも慎重に基準などを作っているとのことでした。


4.ワークショップ


企業の被災地復興支援について十分インプットがあり、会場の雰囲気も十二分に暖まってきたところで、
〝対話とデザイン″という副題のもと、ワークショップセッションに移りました。

まず始めに、上國料さまから福島の子供と保護者の声を伝えていただき、




ワークに移りました。

まずは、ご自身の会社で子供の支援を行う場合、どのような支援モデルが考えられるかというテーマで個人ワークを行なっていただきました。


その後、グループワークに移り、
合計45分という大変短い時間のなかでアイディアをまとめていただきました。


テーブルごとに、熱い議論が交わされていました。


リンふくスタッフも各班にひとり入らせて頂き、

新たな復興支援のアイディアが話し合われていく様子に耳を傾けていました。










5.発表


1班からは、世代を越えた井戸端会議によってコミュニティ形成というアイディアが出ました。
昔はあった井戸端会議が復活することで、親御さん達は情報共有ができ、子供は学びの機会が得られるというものです。
竹井さまからは、世代を越えたコミュニケーションは重要というコメントをいただきました。

2班は、ソーシャルゲームとリアルな旅行をかけあわせることで地域経済活性化を狙うというアイディアでした。
県外の親子がソーシャルゲームを使って福島を知り、食べて遊んで学ぶ、そんな仕組みがアウトプットとして出ました。

竹井さまからのコメントは、ソーシャルゲームとリアルの繋がりによる成功例は多く、ぜひ実現して欲しい、その際に、福島だからこその資源が何かを深めなければいけないという内容でした。

3班からは、「福島サミット」というアイディアが出されました。
毎月11日に、福島について考えるサミット、しかも洞爺湖サミットの規模のものを行うというものです。
そのような話題性も伴えば放射線や福島に対する知識が深まり、集まった企業や現地の方との交流によってビジネスが発展していくという壮大なプランでした。
竹井さまからは、話題性、スケール感が素晴らしいし、こういうのが必要だとのコメントでした。特に、福島だから除染に関する世界最大のサミットができるとのコメント頂きました。


4班からは、「復興合コン」略して復コンのアイディアが提出されました。
ポイントは、東京の独身女性に福島に来てもらい、福島の魅力を彼女らに知ってもらうとともに福島側もやる気が出るという一石二鳥を狙ったものでした。
竹井さまからは、実はこの問題は福島より三陸のほうが強く、漁師はカッコイイし年収もかなりあるのに結婚相手に苦労するというお話がありました。同様に、福島の男性の魅力をもっとアピールできればよいですね。





6.評価
最後は、足早になりましたが、

相互評価にて<イノベーティブで賞>と<実現可能で賞>を決定しました。
また、パネラーのお三方による<審査団賞>も設定しました。
その結果、
<イノベーティブで賞>は、「福島サミット」を提案した3
<実現可能で賞>は、「復興合コン」の4
<審査団賞>は「ソーシャルゲーム」の2
となりました。



最後に


今回は、藤沢さま・上國料さま・竹井さま・池田さまという豪華なゲスト陣、素晴らしい参加者の方にお集まりいただき、非常に濃密な場となりました。
(学生が主催したイベントにもかかわらず多数の皆様にお越しいただき主催者冥利につきます。)

また、基本的に利害関係のないビジネスマン同士が対話を行う(時には競合関係にある方同士でも!)「フューチャーセンターセッション」に、強い可能性を感じました。
フューチャーセンターは、人的資本、構造的資本、関係性資本を築くと言われています。
私も、今回のセッションで満足せず、福島の問題を解決するために今回生まれた人とのつながり(関係性資本)を活用し、今後も活動をしてまいりたいと思います。

最後になりましたが、ゲストの方や参加者の方をはじめとして、多くの方にご協力いただき今回のイベントを開催することができました。
本当にありがとうございました。


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