2012年9月12日水曜日

【イベントレポート】 スタ★ふく ~農業ツアー~

こんにちは!
Link with ふくしま東京スタッフの古渡みゆきです。

この度、9月8日から9日にかけてスタ★ふく農業ツアーに参加して参りました。
※スタ★ふくについては過去のエントリーをご参考ください。
ふくしま NOW!!: 学生企画スタディーツアー『スタ☆ふく』のご紹介


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今回のツアーの行先は、二本松市東和。

福島市出身であり、祖父母が二本松市に住む私にとって、
二本松市東和は大変身近な土地です。

しかし、実際に東和を訪れたことがなかったことと、
また「農業」という放射能の影響を大きく受ける産業の
現在の取り組みと今後の展望について知りたいと考えたことが
今回このツアーに参加した動機です。


今回のツアーにて、希望者は放射線積算線量計を身に付けることができました。
ガイガーカウンターなどで実家の庭を計測することはありましたが、
実際に一日中線量計を身につけて生活するのは初めてだったので、
数時間ごとに線量計をチェックしました。











参加者の中には、少しでも数値に変化があると
「怖い」と言って数値をリセットしてしまう参加者もいました。

 
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二本松駅に到着し、福島からの参加者と合流後、浪江焼きそばをいただきました。

その後、今回の宿泊先・木幡山隠津島神社の参宿所にて、
茨城大学農学部名誉教授の中島喜一氏、
NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会代表理事の大野達弘氏による
お話を伺いました。

特に「福島のキセキ」については、震災後、
私も初めて耳にしたお話だったので大変驚きました。

事故当時、農地にあった作物には放射能が沈着し、収穫、出荷された野菜などからは
放射性ヨウ素や放射性セシウムが高濃度で検出されました。

しかし、春が来て耕された田畑や新たに種がまかれた作物からは、
「検出されず」かそれに近い低濃度の数値の検出にとどまったそうです。

田畑を耕したことによって、
土にセシウムが吸着・固定され、作物への吸収を防いだからだそうです。

これを中島氏は「福島のキセキ」と名づけました。


東和の人々は、震災後のこの地に暮らし続け、田畑を耕し続け、
作物を育て、販売し、食し続けた。

これは、東和の農業を守っただけでなく、
農家の人々の生きがいと仕事、家族を守ることにもなったのだと仰っていました。



その東和で農家をされている、関さん。

私たちが2日目の昼食・夏野菜カレーの野菜を収穫させていただいた
関さんの<ななくさ農園>では、
米、キュウリ、インゲンのほか、小麦や大豆、ハーブを育てており、
今は地ビール作りにも挑戦していらっしゃいました。

今後は、ワイン作りも手掛けていきたい、酒税がもっと安くなったらなー、
アルコールツーリズムなんてどうかな?
と前向きで意欲的な関さんに大変励まされました。


関さんの手掛けた作物はどれも大変立派に育っており、
その後の夏野菜カレー作り前の、農産物放射能簡易測定でも「検出されず」という結果でした。














東和で採れた野菜で作った夏野菜カレーは、トマトの水分だけで作られており、
少し酸味のきいた優しくて、美味しいカレーでした♪












その後のワークショップでは、それぞれがこのツアーを通して学んだことや感じたこと、
そして今後のアクションを共有し合いました。

印象的だった言葉をシェアします。

・被災地支援より、消費者教育が必要だと分かった。
・「人との繋がり」→本当に多くの参加者さんが口にしていました。
・東和は、住民同士の繋がりの強さ、懐の深さが違う。
・ツアーに参加して、百閒は一見に如かず、まさにこれを実感した。
・福島の奇跡について初めて知った。これを正しく拡散していきたい。
・今回のツアーは、大学生が作ったものだから行きたい!と思った。
・次は、友達や仲間、家族を連れて東和に来たい!


放射能や風評被害を人との繋がりで乗り越えてきた東和地区のみなさん。
今回のツアーで参加者の方々とさらに力強い絆で繋がり、
また復興に向けて東和が一歩前進したように感じました。


私は、震災以来、いつもネガティブな発言や表情をみせる福島の家族が心配でした。
しかし、普段は被災地から離れた神奈川に住む私が、家族にかけられる言葉や
上手い励まし方が見当たらず、私も一緒に落ち込んでしまうことがありました。

今回の農業ツアーで訪れた東和は、農業で生計を立ててる方の多い地域。
きっと、市街地に住む私の家族以上に、大変で辛い思いをなさっているに違いない。
そんな先入観を持って、東和を訪ねました。


しかし、東和のみなさんは、私が想像していた以上に前向きで、
特に大学で観光を学んでいる私にとって、

田畑しかない東和だけど、"人"が東和の魅力であり、資源。
ありのままの原発以降の東和を見てもらいたい。人も農業も。
そして、外から来た人たちの新しい感覚や刺激が支援やサポートにつながっていく。
新しく来た人たちは、私達に何ができる?私たちは、新しく来た人たちに何ができる?
そうやって精一杯のサポートを行なっていくことが、その後の新規就農や後継者探しに繋がる。
農業で足りなければ、グリーンツーリズムで補う。
そのくらい肩の力を抜いて、気楽に楽しくやんのがいいんだ。」

という東和グリーンツーリズム推進協議会会長の武藤一夫氏のお考えに大変感銘を受けました。


原発被害を受けてからの農業との向き合い方だけでなく、
グリーンツーリズムへの向き合い方までもが斬新で前向きだったからです。

東和の「農業」は、単なる産業ではなく、
東和の人々の生活を支え、生きがいであり、コミュニティの中心なのだと感じました。


 

是非、力強い東和とそこに生きる東和のみなさんに会いに行ってみてください。
http://www.touwanosato.net/minsyuku.html
東和地区・旭地区の農家民宿のご案内











私も、家族を連れて、また遊びに行こうと思います。
二本松市東和のみなさん、本当にありがとうございました!

Link with ふくしま
古渡みゆき

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